建築家の西沢大良が現代の国家、資本と都市、建築について語り下ろしたツイートのまとめを掲載します。2014年5月17日の夜に展開されたもの。この話の前段にあたる「軽工業から説き起こす近代建築と近代都市」のまとめはこちら。
セラジさんは僕もマラケで会いました。 @kjmkzhr パリのセラジ学長の新国立競技場へのメッセージ。何度かお会いしたがその知的さが凝縮された文。 http://t.co/F6BV3DYfE0
— 西沢大良 (@tairanishizawa) May 14, 2014
→大人の事情を知らない若い人たちへ:
前ツイートのボザールからの手紙で疑問視されてる外苑の新国立競技場は、工事費ありきで決まった企画であることが問題ですよ。工事費を高くすることだけを目標に、面積もプログラムも決められたということ。設計以前に企画に問題がある。これを説明しちゃう。— 西沢大良 (@tairanishizawa) May 14, 2014
→これ説明すると長くなっちゃうなあ。。。まず原発は一基つくるとおよそ5000億円します(周辺の土木整備費入れるともっとする)。それは建築物の値段というより街の値段です(ベッドタウンくらい)。施工するゼネコンやメーカー側から見ると、街を一個受注するようなおいしい仕事です。
— 西沢大良 (@tairanishizawa) May 14, 2014
→というかゼネコンや原子炉メーカーといった馬を走らせている大手銀行にとって、原発はおいしい仕事でした。でも福島原発の発災以来、そのおいしい仕事が消えてしまいました。銀行はハタと困ってしまったのです。幸いガレキ処分で多少儲けられたけど、それでも足りないくらいに困っているのです。
— 西沢大良 (@tairanishizawa) May 14, 2014
→そこにおいしい仕事が出た。それが新国立競技場です。だから、それを膨らましに膨らまして1500億なり3000億なりにした。それでも足りなかったので足下の明治公園もつぶして人工地盤も作ることにした。さもないと原発数基分の値段になってくれないんだもん。
— 西沢大良 (@tairanishizawa) May 14, 2014
→だからこの競技場は、是が非でも作りたい。原発やらせてもらえないなら是が非でも作りたい。安藤だろうがフォスターだろうが使えるタマは使って実現したい。東大土木学科長だろうが東大建築史家だろうが、総動員して正当化したい。ザハでもサナーでもいいからお化粧してもらいたい。
— 西沢大良 (@tairanishizawa) May 14, 2014
→以上を画策している大手銀行と上場企業は、実はとっくに破綻しているんですけどね。日本の大手銀行は、海外投資家からゾンビだと公言されてます。なぜゾンビが今も営業してるのかと言えば、税金+国債をつぎこんで活かしているからです。こいつらそろそろ退場させないと、本当に戦争まで行っちゃうよ
— 西沢大良 (@tairanishizawa) May 14, 2014
→良心を失っていない若い人々へ:
こないだのツイート(14日)は、ドメスティックな資本についての話でした(グローバルな資本の方も問題アリですが、それについては別の機会にツイートします)。他方、今回は今の国家についてツイートしなきゃイケマセン。なにしろ話は公共事業なわけだから。— 西沢大良 (@tairanishizawa) May 17, 2014
→近代都市(今の東京とか上海とか)の整備主体は、基本的に資本と国家の2つです。「資本」とは民間資本のことで、不動産債券なり銀行融資なりを通じて、再開発とか高層マンションとかをやる。「国家」とは税金ベースの公共事業のことで、国交省や特殊法人や3セクを通じて港湾や道路や団地などをやる
— 西沢大良 (@tairanishizawa) May 17, 2014
→国交省の序列は、1港湾局2鉄道局3道路局4河川局・・(以下略)となってます。序列1位が港湾であるのは旧内務省の頃から不変です。昔、猪瀬直樹は道路や河川には噛みついたけど、港湾や鉄道には何もしませんでした。もちろん特殊法人や三セクは、猪瀬の言う通り国交省の天下り先です。
— 西沢大良 (@tairanishizawa) May 17, 2014
→国交省のルールは、序列の高い局ほど税金を多く分捕るというシンプルなもの。それを国会承認の必要な一般会計でなく、不要な特別会計でやっている。いわばシビリアンコントロールの圏外で、集めた税金を山分けする。それが国の財政赤字として累積されている(先日1000兆円をあっさり突破した)。
— 西沢大良 (@tairanishizawa) May 17, 2014
→そこにゼネコンから自治体から政治家までが食い込んでます。日本のスーパーゼネコンは土木が黒字、建築はトントンかちょい赤字。港湾事業はゼネコンにとって純益30〜35%くらいだったかなあ。20億の浚渫事業を受注したとして、7億くらいが濡れ手に粟。こんなにおいしい仕事はやめられない。
— 西沢大良 (@tairanishizawa) May 17, 2014
→しかも官僚の皆さんは毎年せっせと仕事をつくってくれるから、干上がる心配はない。官僚の皆さんはそうやってあちこちに恩を売り、2回くらい天下りするのです。だから財政赤字1000兆をあっさり超えちゃう。というか、まだ序の口だと思われる。おれにもやらせろって官僚ばかりだもん。
— 西沢大良 (@tairanishizawa) May 17, 2014
→税金の使い方にシビリアンコントロールが効いてないなんて、政治家は何してる?って、普通は思うよね。ところが、この仕組みを考えたのが自民党なんです。中央の政治家についてはいろいろ聞いたことがあると思うから、各自情報を当たってもらうとして、ここでは地方の政治家について説明するね。
— 西沢大良 (@tairanishizawa) May 17, 2014
→地方自治体が道路を整備する場合、地元負担5割:中央負担5割。10億の道路工事で5億は中央から貰える。港湾になると地元負担1〜2割:中央負担8〜9割。10億の埋立て工事で8〜9億は中央から貰える。国交省の土木事業がなければ、地方の財政は破綻しちゃうから、地方の議員は反対できない。
— 西沢大良 (@tairanishizawa) May 17, 2014
→ちなみに沖縄だけは、道路でも何でも地元負担1割:中央負担9割。だから沖縄の人たちがあれほど反対しても、米軍基地の新築工事(米国でなく国交省が整備します)に賛成する議員が出てきてしまう。これがハコモノ行政の底力。
— 西沢大良 (@tairanishizawa) May 17, 2014
→首長は何もしないの?って普通は思うよね。でも自民推薦で首長になっちゃうと、集金マシーンになっちゃうんだ。国交省からどの自治体に何億の事業が行くかは事前にわかるから、そのキックバックで党を運営してたりする。キックバックを拒否すると、昔の福島県知事みたいに検察に捕まって監獄行き。
— 西沢大良 (@tairanishizawa) May 17, 2014
→キックバック率はきっと10%位じゃないのかなあ?(予想にすぎず。純益35%だからその半分弱かなと予想しました)。それがゼネコン経由で洗浄されて、合法的な政治資金になる。民主党も後半はほぼ同じ、他の政党も財界に献金されていたらほぼ同じ(どの省庁の予算なのかは違うけど)。
— 西沢大良 (@tairanishizawa) May 17, 2014
→若い皆さん、地方選挙ではそうじゃない首長や議員にぜひとも投票して下さい。
— 西沢大良 (@tairanishizawa) May 17, 2014
→良心的な学者は反対しないの?って思うよね。でも東大見てごらん、国交省の諸局と同じものが揃ってる。港湾・鉄道・道路・河川・・というふうに講座が分かれて、それぞれ国交省を正当化するために学問してる。だって正当化してもらうために国がつくった機関が東大だもん。東大はあっち側の人々。
— 西沢大良 (@tairanishizawa) May 17, 2014
→この一連のカラクリをパクったのが経産省・学者・企業による原子力村。ただし歴史が浅いから50年でボロを出した。でもこっちは明治以来の古さがあるからボロは出ない。隣接業界(建築界)でこれに気づいた人も TOO BIG TO FAILで黙ってる。だからそれにすり寄る建築家もいたりする
— 西沢大良 (@tairanishizawa) May 17, 2014
→これが20世紀末以降の日本の建築界です(ドメスティック版。グローバル版についてはまたいつか)。 若い皆さん、これを続けてると国の財政赤字が2000兆をも超えて、皆さんが返済していくことになります。というかもっと最悪なシナリオもある(資本のグローバル版を理解しないと見えないかな)
— 西沢大良 (@tairanishizawa) May 17, 2014
→これで最後。
以上のカラクリのために欠かせないのが、近代都市と近代建築なんです。白い空間ってスキとか言ってる場合じゃないです。建築界にはガウスがいないから、信頼できる年寄りはゼロです。皆さんは違うことを始めて下さい。特定秘密保護法で言論封鎖される前に、この意見を広めて下さい。— 西沢大良 (@tairanishizawa) May 17, 2014