浅子佳英/タカバンスタジオが設計を手がけ、築30年の規格住宅を改装した住宅兼アトリエ「gray」を、フォトグラファー 新津保建秀による写真で紹介します。

開放的に設えられた大きな部屋とその下に隠された小さな沢山の部屋が、床下に設けられたハッチによって繋がったり離れたりすることで、複雑で贅沢な体験をもたらす住宅です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

以下建築家によるテキストです。

ラグジュアリーについて

築30年ほどの商品化規格住宅の改装。隣地との隙間に設けられた外部階段を上がり、真っ黒のドアを開けると外からは想像できないほど大きな部屋があらわれる。壁はすべて取り払われ、シンメトリーに整理された開口部は完全に開け放つことができ、屋外と室内の一体感を生む。素材は荒々しく、たっぷりとしたスケールで、住宅というよりギャラリーもしくはサロンのような空間である。
床に隠された蓋を開けると床下には小さな部屋がぎゅうぎゅうに詰まっている。あらゆるものが小さく、一度上った後に下りてくるので、すぐ外に見える景色はどこか遠くに感じられ、不思議な奥行きを持つ。

大きな部屋がひとつだけあること。小さな部屋がたくさんあること。どちらも唯一のかけがえのないものである。このふたつが唐突に繋がったり離れたりすることで外との関係が反転し、その体験はより複雑で贅沢な──ラフで自由な──ものになっている。

浅子 佳英
1972年神戸市生まれ。建築設計事務所、インテリアデザイン事務所を経て、2007年タカバンスタジオ設立。2009年東浩紀らと共にコンテクチュアズ設立(現ゲンロン)、思想地図βvol.1+vol.2のクリエイティブディレクターとして編集及びデザインを務め2012年退社。2015年―国士舘大学非常勤講師。主な論考に「コム デ ギャルソンのインテリアデザイン」(『思想地図β』vol.1所収、2010年、コンテクチュアズ)「しろくちいさく透明なセカイ──少女時代の建築家たち」(『ゼロ年代11人のデザイン作法』所収、2012年、六耀社)「プラダ・エピセンターが変え(なかっ)たもの」(『レム・コールハースは何を変えたのか』所収、2014年、鹿島出版会)。おもな作品に『閉じこもるインターネット』『マスタースイッチ』『原子爆弾とジョーカーなき世界』装丁、《カオス*ラウンジ》《破滅*ラウンジ》《堂島リバービエンナーレ2011「地圏」エリア》《都市・情報・移動の未来を考える》会場設計、《京都西本願寺デジタルサイネージ計画》《X-girl》《MILKFED》《JOHN SMEDLEY》《東京2020オリンピック選手村代替案》等。


Posted by Shin Yamashita