厚木基地近くにある基板工場の増築棟である。一階部分は当初作業場として計画していたが、ショールームや地域へのマルチスペースへと変更になったため、多用途に使える柔軟性と開放性が求められた。また、現在使用している工場の建て替えも将来的に検討していたため、増築する際の汎用性が高く、空間やプログラムが使い手の能動的な関わりによって可変する建築を設計しようと考えた。この建築は、さまざまな条件に適応させるためにモデル化した構造軸組と、更新可能性と可変性を高めて細かな制御を可能にする建具などのエレメントからなる。これら各要素の独自性を担保しながら並置される構成によって、空間は特徴づけられている。

当該敷地は工場と住宅が並存している準工業地域である。工場は街に対して閉鎖的なプログラムであり、その多くが鉄骨造で外壁は工業的なマテリアルで覆われている。住宅もプライバシーを守るために閉鎖的になりやすいプログラムであるため、ポジティブな意味でこの2つのプログラムが交わることは少なかった。敷地の隣家では洗濯物を干したり犬の散歩をしたりと、日常的な住生活がある。そんな日常のある場に建つ工場がどうあるべきかを施主と一緒に考えた。そこで出てきたのが工場と住宅の間をとりもつ「開かれた木造の工場」というイメージだった。このような場が人びとの能動的な介入によって日々変化しながら、人びとが集まる場としてこの地域に受け入れられていくことを期待している。(浜田晶則)

北立面
東立面。周囲には住宅と工場(背後)が並存している
可動式のスチールパネルが内外の関係をとり持つ

縁側的な空間を介して通りと一体的につながる
一室空間としての利用時。上部に1,2階の設備用のダクトが最短経路になるように取り付けられている
用途に合わせて間仕切ることができる

2階はオフィス空間。上部には日差しをコントロールする膜が設けられている
外観夕景

一階平面図
断面図
木架構とその接合部

【DATA】
title: 綾瀬の基板工場
place: 神奈川県綾瀬市
date: 2017
program: マルチスペース、事務所
Design: 浜田晶則建築設計事務所
Photo: Kenta Hasegawa

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Edited by Shinichi KAWAKATSU