敷地は北海道伊達市で、北西には有珠山や昭和新山、南は遠く内浦湾を望む豊かな自然に恵まれた環境である。具体的に案を検討していくうちに、100坪ほどの敷地は要望に対して少し大きく感じられた。例えば、大きな庭を生活の中心に据えれば、年間を通して外部を維持しなければならず、北海道の中では比較的温暖な土地でも、冬は雪に閉ざされてしまうような場所ではリアリティが感じられない。

 そこで、この敷地に見合った大きな鉄骨造の建物を建て、その内部に必要な機能を備えた小さな木造の建物を建てるという、二つの建物が入れ子になった案を検討した。二つの建物は、それぞれ防水層と断熱層を担い、一つの住宅に求められる性能を、二つの建物が補完し合うことで担保しているという意味では、二つの建物が入れ子状に配されているというよりも、一つの建物の外壁や屋根を引き剥がすように解体した結果として、エレメントを構成するモノが自立して現れているといえる。通常は建築のエレメントとして複合化され、隠蔽されてしまう壁や屋根の懐が見えている状態である。この懐に見出された空間は、質としては内部でも外部でもない、どちらにも属さない第三の空間である。この第三の空間に面している部分は、仕上げなのか下地なのかを区別することはできず、両者の序列関係は失われ、空間を占有するモノとモノとの隣接関係だけが浮かび上がるのだ。

 住まい手は、質の異なる空間を自由に行き来することで、快適な場を発見していく。その場の質を成り立たせているモノとモノの関係性を理解し、主体的に再編しながら生活する。建築のエレメントを解体し、モノに還元するように断片化させ、広域の環境との応答関係の中で再構築することで、住まい手の主体性を掘り起こすような空間を導き出そうとしたのだ。(青木弘司)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

二階平面図

 

【DATA】

作品タイトル/ 伊達の家
用途/個人住宅
所在地/北海道伊達市
敷地面積/292.00m2
建築面積/119.54m2
延床面積/145.81m2
設計期間/2015年8月~2016年11月
工事期間/2016年12月~2017年5月
設計/青木弘司建築設計事務所(青木弘司、川松寛之(元所員))
構造/RGB STRUCTUER(高田雅之)
環境デザイン/中川純、丸山由香、常岡優吾、古川亮哉、山口真吾(全員早稲田大学大学院 )

ファサードコンサルティング/スタンダード(井波敬宗 )、三進工業(鹿児島豊)
施工/平口建設(飯野典巨、松本陽出大)

−−−−−−−−−−−

写真:永井杏奈

−−−−−−−−−−−

Edited by Shinichi KAWAKATSU