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藤田雄介による『時間の倉庫』(設計:福島加津也+冨永祥子建築設計事務所)へのレビュー「 “ありのまま” 建つことの困難」

福島加津也+冨永祥子が設計した《時間の倉庫》に足を運んだのは、改修されてから約1年が経とうとした頃だった。専門誌に掲載された記事を見て興味を持ったこと、自分の完成間近のプロジェクトについて考える上で見ておきたいと思ったためである。寒風吹きすさぶ駅からの道のりを足早に、現地にたどり着いた時の第一印象は、煉瓦造の建物が「ありのまま」建っているというものだった。外観はそのまま、内部は何が加えられ何が引かれたのか分かりそうで分からない。

浅子佳英による『ART PHOTO TOKYO』(会場構成・デザイン:元木大輔)へのレビュー「なにかを展示する場所について」

「ART PHOTO TOKYO」は、茅場町という証券取引所がある場所として誰もがなんとなく知ってはいるけれど多くの人は降りた事すらない街に、たった4日間だけあらわれ消えていった蜃気楼のような空間である。より具体的には、再開発のために建て壊しが決まったオフィスビルを、元木大輔が写真を展示するための空間へと変容させたものだ。

宮城島崇人による『伊達の家』(設計:青木弘司)のレビュー「生活のリアリティを削ぎ落とした先にあるもの」

生活のリアリティを削ぎ落とした先にあるもの   北海道のような比較的環境負荷の大きい積雪寒冷地においては、小さな失敗が建築の崩壊につながると言っても大げさではない。そうした環境の中で快適な住まいを求めて、先輩建築家たちは工務店、技術者、メーカー、研究者、そして施主との協働による幾多の試行錯誤を通して、断熱通気工法、外断熱工法、ブロック造の北方住宅、無落雪フラットルーフなどの技術や知恵を発明し、それらを共有しながら、新しい北方住宅を提案してきた。

青木弘司による鉄骨造と木造の建物が入れ子状になりながら環境的に補完し合う『伊達の家』

    敷地は北海道伊達市で、北西には有珠山や昭和新山、南は遠く内浦湾を望む豊かな自然に恵まれた環境である。具体的に案を検討していくうちに、100坪ほどの敷地は要望に対して少し大きく感じられた。例えば、大きな庭を生活の中心に据えれば、年間を通して外部を維持しなければならず、北海道の中では比較的温暖な土地でも、冬は雪に閉ざされてしまうような場所ではリアリティが感じられない。

三木健による中国、上海当代美術館にて行われている展示「APPLE+展」

2017年10/13より12/4まで中国、上海当代美術館(MoCA Shanghai)にて行われているグラフィックデザイナー三木健の展示「APPLE+展」を紹介します。 上海美術設計有限公司からの依頼を受けて実現したこの展示は、三木健の海外初個展であると同時に2015年ギンザ・グラフィック・ギャラリーで開催された「APPLE+」展、2016年クリエイションギャラリーG8、新潟県立近代美術館で開催された亀倉雄策賞受賞記念 三木健展[りんごデザイン研究所]からさらに内容を追加し、再構築したものとなっています。

門脇耕三による『銀座夏野Rblg』(設計:TNA)へのレビュー「都市を反転する」

武井誠と鍋島千恵のユニットであるTNAが、銀座でビルを設計していることを知ったのは2009年の夏のこと。『GA JAPAN』誌上での計画案の紹介記事★1を読んだのであるが、その印象があまりに鮮烈だったから、このプロジェクトには個人的にずっと関心を持ち続けてきた。

武井誠+鍋島千恵/TNAによる格子状の構造体と二重螺旋の階段を持つ『銀座夏野Rblg』

    銀座の並木通りと松屋通りの交差点にある6m×10m程の角地に7階建のビルが竣工した。敷地のある街の区画は、外堀通りが運河だった400年前の木材問屋街のときから変わらず商店の間口が残っているエリアであるが、竣工までの7年間に小さな個人商店から大きな商業施設へと区画が再編され、銀座のファサードはますます煌びやかになり水平に巨大化していった。結果、かつて銀座の商店にあった道と商品の陳列棚の間にあった半外部空間の庇地がなくなり、街の風景を反射する外観がのっぺりと街区を覆ってしまった。

村山徹(ムトカ建築事務所)による『始めの屋根』(設計:増田信吾+大坪克亘)へのレビュー「強度をもってして、あたかも始めからそこにあったかのように建築を置くこと」

「今、基礎つくってるんすよ」と、躯体の窓の見学会後の飲み会で増田くんがうれしそうに言っていたのが3年前。それがリビングプールとして発表されて、次は「屋根つくってるんすよ」と得意げに言う増田くん。これまで建築のある部位だけを攻めてきた増田大坪。もはやこれは、確信犯と言っていいだろう。

POTLUCK DESIGN TABLE # 1 _方法論としてのDIY / DIYedなデザイン【モリカワリョウタ(GELCHOP)× 村上諒平(studioBOWL)× 西尾健史(DAYS.)】

POTLUCK DESIGN TABLEは、最前線で実践するデザイナーたちが「今おもしろい」と感じるデザインを持ち寄り、それについて語ることからこれからのデザインの方向性や可能性を探っていくトークシリーズです。第一回目は、DIYをスタイルではなくある種の方法論として捉え、意識的にデザインとものづくりを連続させているGELCHOP、DAYS.、studioBOWLの3組に話を聞きました。

山道拓人(ツバメアーキテクツ)による『綾瀬の基板工場』(設計:AHA)のレビュー「福祉発、アルゴリズム経由、建築論」

建築を批評する際、設計をした建築家がどのようなフレームで世界を認識しているかを知ることが重要だと最近思う。そのフレームをかたちづくる要素の一つに、建築家の経由点というものがある。プロジェクトとして経験したビルディングタイプに内在する文法が、その後の設計に強い影響を与えるということがあるからだ。

浜田晶則(AHA)による更新可能性と可変性が目指された木造のマルチスペース『綾瀬の基板工場』

厚木基地近くにある基板工場の増築棟である。一階部分は当初作業場として計画していたが、ショールームや地域へのマルチスペースへと変更になったため、多用途に使える柔軟性と開放性が求められた。また、現在使用している工場の建て替えも将来的に検討していたため、増築する際の汎用性が高く、空間やプログラムが使い手の能動的な関わりによって可変する建築を設計しようと考えた。この建築は、さまざまな条件に適応させるためにモデル化した構造軸組と、更新可能性と可変性を高めて細かな制御を可能にする建具などのエレメントからなる。これら各要素の独自性を担保しながら並置される構成によって、空間は特徴づけられている。

森田一弥『法然院の家』

築100年近い三軒長屋の1棟を改修した住宅である。敷地は京都市左京区の大文字山から哲学の道を経て京都市内へとつながる傾斜地の中腹にあたり、市街地や周囲の緑地への眺望にも恵まれた自然豊かな立地である。

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