福島加津也+冨永祥子が設計した《時間の倉庫》に足を運んだのは、改修されてから約1年が経とうとした頃だった。専門誌に掲載された記事を見て興味を持ったこと、自分の完成間近のプロジェクトについて考える上で見ておきたいと思ったためである。寒風吹きすさぶ駅からの道のりを足早に、現地にたどり着いた時の第一印象は、煉瓦造の建物が「ありのまま」建っているというものだった。外観はそのまま、内部は何が加えられ何が引かれたのか分かりそうで分からない。
福島加津也+冨永祥子が設計した《時間の倉庫》に足を運んだのは、改修されてから約1年が経とうとした頃だった。専門誌に掲載された記事を見て興味を持ったこと、自分の完成間近のプロジェクトについて考える上で見ておきたいと思ったためである。寒風吹きすさぶ駅からの道のりを足早に、現地にたどり着いた時の第一印象は、煉瓦造の建物が「ありのまま」建っているというものだった。外観はそのまま、内部は何が加えられ何が引かれたのか分かりそうで分からない。
「ART PHOTO TOKYO」は、茅場町という証券取引所がある場所として誰もがなんとなく知ってはいるけれど多くの人は降りた事すらない街に、たった4日間だけあらわれ消えていった蜃気楼のような空間である。より具体的には、再開発のために建て壊しが決まったオフィスビルを、元木大輔が写真を展示するための空間へと変容させたものだ。
生活のリアリティを削ぎ落とした先にあるもの 北海道のような比較的環境負荷の大きい積雪寒冷地においては、小さな失敗が建築の崩壊につながると言っても大げさではない。そうした環境の中で快適な住まいを求めて、先輩建築家たちは工務店、技術者、メーカー、研究者、そして施主との協働による幾多の試行錯誤を通して、断熱通気工法、外断熱工法、ブロック造の北方住宅、無落雪フラットルーフなどの技術や知恵を発明し、それらを共有しながら、新しい北方住宅を提案してきた。
武井誠と鍋島千恵のユニットであるTNAが、銀座でビルを設計していることを知ったのは2009年の夏のこと。『GA JAPAN』誌上での計画案の紹介記事★1を読んだのであるが、その印象があまりに鮮烈だったから、このプロジェクトには個人的にずっと関心を持ち続けてきた。
「今、基礎つくってるんすよ」と、躯体の窓の見学会後の飲み会で増田くんがうれしそうに言っていたのが3年前。それがリビングプールとして発表されて、次は「屋根つくってるんすよ」と得意げに言う増田くん。これまで建築のある部位だけを攻めてきた増田大坪。もはやこれは、確信犯と言っていいだろう。
建築というものは何はともあれまず、それがどこに建っていて、どのように現れるかが重要である。平田晃久による太田市美術館・図書館に初めて訪れたとき、その鮮やかな現れ方に虚を衝かれた。
建築を批評する際、設計をした建築家がどのようなフレームで世界を認識しているかを知ることが重要だと最近思う。そのフレームをかたちづくる要素の一つに、建築家の経由点というものがある。プロジェクトとして経験したビルディングタイプに内在する文法が、その後の設計に強い影響を与えるということがあるからだ。